先日用事があったので六本木にあるフエギアに初めて行った。フエギアはヤバい香水屋さんだ。
香水の組み立てが独創的で詩的で原料は多分とてもいい。美学でできてる感じ。言っとくけど私は香水ど素人だ。
ど素人の大胆さで店の方と話している。ただこの香りが好きだとか感想だとかを素直に口にして快く受け入れてくれる。多分私のおかしな熱量が伝わっているのだろう。生温かい目というやつだ。
香りは記憶とも密だし正解はないもの。目に見える世界がそれぞれ違う以上に嗅覚の世界は全然違うと思う。なんというか右脳的な。
一度調香師の人にイベントでお会いしたことがあるが目がキラキラした可愛らしくて透明感のある人だった。濁りのない人だった。香水のことしか考えてなさそうだったな。芸術家。
そして原材料によってお値段が衝撃的。狂気の沙汰だ。そしてそれを買う人も狂気の沙汰だろうと思う(肯定してます)。このままこだわり続けてそのうちハイブランドのバッグくらいの値段がつきそう。その芸術家を気に入った物好きが作品を買う。もちろん目玉の飛び出るようなものだけではなくお求めやすいものもある。いつの世もそんなおかしな人たちはいてお互いを支え自分を支えている。
私も銀座のフエギアに行って気分を上げて大事な場面に行ったことがある。色々嗅がせてもらってるうちにホントにマインドが混乱するというか、普段の私とは少し違う状態になっていたと思う。
先日試させてもらった伽羅を原料にしたものは完全に誰かへの「ウケ」のようなものは一切関係のない世界の香り。嗅いだ瞬間学校の保健室の前の冷たい廊下と琺瑯の洗面器の記憶が蘇った。薬品のような匂いだと私の鼻は判別したのだと思う。
次にお寺の廊下のような。
いずれにしても静かで誰もいない。私だけしかいない。
お店の方によると、自分の内側に向かい合う香りと仰っていた。静謐な時間と空間へと連れていってくれる香り。
香りって面白い。
脳とダイレクトにやり取りできるというかね。
香りそのものの快楽とその記憶とのやり取りの快楽があるのだろうな。
フエギアの香りは中毒性があるように思う。それくらい私には他の香水ブランドとは違う世界に存在している。